研究内容
① 経済性向上:安価・低環境負荷のレアメタルフリー正/負極活物質開発
正極材料のレアメタルフリー化のポイントはレドックス中心となる遷移金属の中で最も環境負荷の小さな鉄を如何に使いこなすかにかかっています。現在鉄系ポリアニオン正極の中で最大のエネルギー密度が報告されているオリビン型LiFePO4正極が、電気自動車のような大型リチウムイオン電池用正極として最有力視されていますが、LiFePO4をもってしても、現行リチウムイオン電池のエネルギー密度に及びません。そこで、経済性と安全性を材料レベルで確保しつつ、LiFePO4を凌ぐエネルギー密度を有するフッ化物系新規鉄化合物正極活物質の探索及び、合成を進めており、フッ化ポリアニオンやペロブスカイト型フッ化金属などのフッ化物の中から、フッ素の小さな電気化学当量と高い電気陰性度を生かした5V級高電位型正極活物質Li2CoPO4Fやペロブスカイト型FeF3が見つかっています。さらに、カルボサーマルの処理ような表面改質・導電性付与や、溶融急冷法といった新たな材料合成プロセスの開発、塗布技術の高度化によりエネルギー密度、出力特性、安全性、サイクル特性改善の目途を得るべく、研究を行っています。
負極に関しては、リチウムよりも資源量の制約が3桁以上緩いアルカリ金属であるナトリウムをゲストとするナトリウムイオン電池の実現に向けた検討を行っています。